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スキー・スノーボードの情報発信サイト「STEEP」制作・運営

『STEEP SKI BOOK』は、スキーが好きでたまらない全スキーヤーに向けて、ジャンルフリーで俯瞰したスキーのあれこれを詰め込んだ雑誌です。

STEEP BOOK

ウェブサイトやSNS、映像や音源など情報を伝えるのにさまざまなメディアがあるなか、古くから継続しているメディアのひとつとして紙媒体、雑誌や書籍があります。雑誌全盛期の2000年前後から比べれば、業界全体で発刊数や部数は減っているものの、限られた枠に収められた写真や文章は、その時代を色濃く移す器として、いまなお存在感を放っています。
制作チームでは、いくつもの紙媒体を編集・制作しています。ひとつは、双葉社発刊の『BRAVOSKI』。1981年の創刊以来、日本のフリースキーシーンを牽引し続けてきたスキー専門誌です。もうひとつはウェブメディア「STEEP」を母体に始まった『STEEP SKI BOOK』。『BRAVOSKI』は年2冊、『STEEP SKI BOOK』は年1冊のスパンで発刊しており、紙媒体は制作チームの柱のひとつとして携わり続けています。

ここでは『STEEP SKI BOOK』のひとつの企画から、雑誌制作の実際の進行をみてみましょう!

この雑誌は1冊を貫くテーマとして「REVIEW」を掲げています。滑り尽くす一般の方、1年中ギアに囲まれるショップスタッフを軸に、いろいろなスキーやブーツのレビューをまとめる、という方向性です。それをもとに、冊子全体(今号は132ページ)の構成を決める設計図となる「台割」を作ります。

長年携わっていると、付き合いの長いメーカーの担当者も増える。コミュニケーションが円滑にはかれると、取材時のコメントも引き出しやすい

そのなかのひとつの企画「SKI DIGGING」は、1人で複数台を所有することが多いパウダー・BC志向スキーヤーへ、ウエスト100mm前後のスキーの有用性を問いかける4ページもの。スキー場のコースを楽しみつつ、滑りの質を高めたり、より快適で楽しめたりするスキー板はどんなものなのかを探ろうという内容です。
今回、ウエスト100mm前後のスキーをたくさん集め、似た趣向をもったスキーヤーが集えるという条件を満たした取材場所が、2026年3月頭に鹿島槍で開催した試乗イベント「SKI DIG」でした。

協力を得た3名の一般スキーヤーが、出展メーカーのスキーをひたすら試乗。滑り終えたあとに、レビューや所感をぶつけ合いながら、どういった気づきが得られたかを語ってもらうものです。

後ろからついていく緑色のジャケットが当人。一緒に滑ってスキーの感触をともに確かめるのも仕事のひとつ

まる1日がかりの取材後は素材の整理です。イベント終了後、1週間程度でフォトグアラファーから写真が届き、試乗後のレビューを記しているカットなど、膨大な量から種類別に分けていきます。ほかには手書きレビューのデジタル化、ICレコーダーで録った音声データからの文字起こしなど、誌面レイアウトを作成するための素材をまとめていきます。

デスクワークに専念する時間が大半

そこから、4ページという枠にどう当てはめていくかを全ての素材をくまなく見渡して考えます。テキストは会話形式が良いのか、それとも第三者が解説する形が良いのか。3人が乗ったスキーのレビューを、どれくらいのスペースへどのように掲載するか。最初のページの写真はどういったものがいいか。そもそもタイトルで企画意図がすぐ伝わるか、などに頭を悩ませます。 そうした頭のなかのやりとりをラフにしたのが、こちら(走り書きのメモですみません)。この仕様書をもとに、写真やテキストを揃えてデザイナーへ渡します。

デザイナーから初校が上がってきたら、改めて全体を俯瞰してチェック。ページを開いた時に最初に目に飛び込んでくる要素はなにか、ページに過不足がないか、写真やテキストのバランスは適切か、など、見るべき要素はたくさんありますが、ポイントにしているのは初見で感じた違和感をなくすことです。

最初に上がってきたデザイン。ここからデザイン修正を加えながら、原稿も整えていく

それからは、原稿を読み込む校正作業です。同時に関係各所へ内容を確認してもらいます。誤字脱字のチェックにとどまらず、写真のキャプションや商品名・スペック等に間違いはないか、専門用語の表記揺れはないかなど、編集チーム全員の目で幾度も読み込み、より正確で読みやすい誌面になるよう締め切りギリギリまで修正を重ねます。

モバイル、PCの時代になっても、校正では赤ペンが欠かせない

度重なる校正と修正を経て、ページに間違いがないことが確認できたら、ようやく校了です。これは編集としてのすべての作業が完了したことを意味します。数ヶ月にわたるスタッフたちの熱意と努力が結晶となり、インクの匂いが漂う真新しい一冊の雑誌として完成します。 ちなみに、『STEEP SKI BOOK』は書店流通がないため、できあがった本を自分たちでスキー専門店やイベント、オンラインで販売するためにウェブページの制作や、本の発送などもします。
雑誌だからといって、ほかメディアとまったく違う行程になるわけではありませんが、ウェブメディアやSNSと大きく異なるのは、掲載するスペースが限られていること。そのため、取捨選択が必要です。写真を1枚減らす、文字を1文字でも減らすという削る作業が、伝えたいことをより鮮明にするのは間違いないでしょう。 あとは、刷り上がったら修正や変更が効かないことです。発売日の前後は独特の緊張感があり、普段あまり鳴らない番号から電話がくるとすこしビビります。

このメディアを担当するスタッフにインタビュー

メディア事業部 制作チーム ディレクター
小川 尊

Q. 1冊の雑誌をつくるのに、どれくらいの時間がかかりますか?

ToDoリストは手書きメモで残し、作業を終えたものから消していく。アナログだが進捗がよく分かる

A. 一概には言えませんが、制作自体はおおよそ2ヶ月程度です。ただスキー雑誌は10月~12月の発刊が多いため、雪上での取材や撮影は前の冬にします。そのため、撮影取材時期を含めると、半年ほどかかっているともいえるでしょうか。 編集者以外に関わるスタッフは企画にもよりますが、例えばスキー場の紹介記事を作るケースになると、コースを滑るモデル(滑り手)、撮影するフォトグラファー、場合によっては執筆をするライター、誌面をレイアウトするデザイナーと、多くの人が関わっています。

Q. 普段は、どんなお仕事が多いですか?(夏、冬)

撮影時にフォトグラファーに滑りの写真を撮ってもらえるのは役得かも

A. 年間を通して、スキーに携わった業務をしています。雑誌やウェブサイトをはじめとするメディアの制作業務から、スキー場やメーカーなどのPR(パンフレットやLP制作など)、メディアを活かしたナショナルクライアントの販促のお手伝いなど、多岐にわたります。
冬は雪上でのイベントやスキー場などの取材撮影。これまでは取材した成果物は約半年後の雑誌に掲載していましたが、近年は撮って話を聞いてすぐにウェブサイトで公開、というパターンも増えています。冬はできるかぎり雪上に立ち、スキー場や滑り手の動向を探り、企画の種を探し続けます。
雪がない夏場は、各メディアに協力してもらうメーカーさんへの広告営業のサポートもします。現場の実感を言葉にし、クライアントの価値を最大化する方法を一緒になって考えます。
ユーザーのギア購入タイミングや旅行先を選定するのは、秋から冬にかけての時期。その期間に雑誌の発売やウェブのローンチが重なるため、いくつかの業務を同時に回しながら進めるのが恒例です。

Q. 数年前より長野県に移住してテレワークをされていますが、最も大きな変化はどんなことですか?

(上)住んでいる大町市の景色。自然に恵まれる北アルプスの麓で生活(下)ワーキングスペースとしては、白馬村のジャンプ台下にあるノルウェービレッジ利用が多め

A. わかりやすい変化は、雪上に立つ時間が圧倒的に増えたことです。スキー場はもちろんのこと、裏山をちょっと滑ったり、畦道をクロスカントリースキーで歩いたり、自宅の雪かきをしたりなど、雪が積もる場所に暮らし、雪に触れる生活は望んでいたので、嬉しい限りでした。
もうひとつは、業務中になにげなく話す相手が減りました。事務所のデスクに座っていれば、スタッフが周りにいるので他愛もない会話ができます。そうした雑談からアイデアのヒントが生まれたり、気分転換になったりしましたが、自宅での作業ではそういう機会は少なくなりました。友人知人がよく滞在しているコワーキングスペースへ定期的に行き、作業をしています。 。

Q. 雑誌などメディア制作に携わるなかで、いちばんの ”面白み” を教えてください。

海外のスキーヤーともインタビューなどで交流が深められる。写真はいくつもギネス記録をもつイェスパー・ジェイダーと

A. 会ってみたい、行ってみたい、やってみたい、ができることではないでしょうか。その上で、いくつもの制約のなかで、自らのフィルターを通して、面白さや驚きを伝え、具体的な反応があると嬉しいものです。その昔に掲載した若いスキーヤーが、大きくなって世界的な大会に出場するようになるのを見ると感慨深くなります。長年シーンをフォローアップしてきたからこそ、企画を作るうえで協力を得られるなど、信頼関係が作られていく過程も面白いですね。

Photo:Takahiro Nakanishi, Tomohiro Watanabe, Yuta Miyazawa

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